撤退の農村計画 > 記事 : 齋藤晋・林直樹(2010):共同研究会「撤退の農村計画」のネット上での情報共有システムの特徴.平成22年度農業農村工学会大会講演会講演要旨集,810-811.
  • 齋藤晋・林直樹(2010):共同研究会「撤退の農村計画」のネット上での情報共有システムの特徴.平成22年度農業農村工学会大会講演会講演要旨集,810-811.

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     共同研究会「撤退の農村計画」では、熊本大学の学術レポジトリにならって、原則として、全文を公開しています。これは著者最終稿をもとにしたものであり、その後の発行者・出版者側のレイアウト調整・誤字脱字調整、著者の校正は入っていません。

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    ↓以下、要旨。
    1.はじめに
     現在,インターネット上では様々な Web サービスが提供されている。本稿では,研究活動を支える情報共有システムに求められる機能について整理し,共同研究会「撤退の農村計画」のネット上での情報共有システムがそれをどのように実現したかについて述べる。

    2.共同研究会「撤退の農村計画」とは
     共同研究会「撤退の農村計画」( http://tettai.jp/ )は,これまでの報告1)でも説明してきたが,2006年5月に活動を開始した。「積極的な撤退」という概念を軸に,人口減少時代の過疎地域の戦略的再編について議論,考察,研究を進めている。その活動の土台として,活動開始当初から情報共有システムを構築し運用している。

    3.システムに求められる機能
    (1)匿名性の排除による安心・安全の醸成
     研究会では,その扱う内容から,研究者のみならず行政に携わる人や農業従事者など様々な人々と連携して,情報共有をおこなうことが重要になってくる。そのためには,「安心して情報共有できる場の醸成」が必要になる。そこで本システムでは「匿名性の排除」をおこなっている。

     情報共有システムを利用出来るのは,研究会に登録したメンバーのみであり,登録の際には,名前・顔写真・所属・専門分野を提出してもらっている。システム利用時に入力を求められる ID やパスワードは郵送で通知し,「なりすまし」などを防いでいる。登録情報は,メンバーのみが閲覧できるページで,一覧することができる。すなわち「顔が見える状態」で情報共有を行っている。

     匿名のほうが何でも書けるという考えもあろう。しかし,「誰が何を言っているのか」「私は誰と情報を共有しているのか」わかる状態の方が,匿名性ゆえに発生するようなモラルハザードを防ぎ,長期的には,情報共有しやすい空間を醸成出来ると考えられる。農産物直売所において生産者の名前や写真を明示することにより,購買者の安心感を得られるということと類似しているといえる。

     「参加の手軽さ」という点では不利であるが,それ以上に「安心・安全」というメリットを得ていることが大きい。

    (2)共有情報への「型」の付与によるデータベース性の獲得
     研究の世界においては,論文や報告などの文献は「共有されるもの」であり,その蓄積を土台に研究は進展していく。この研究会のおいても,情報・議論が蓄積され参照されることが重要になってくる。そのためには,「共有される情報のデータベース的活用が可能であること」が必要になる。そこで本システムでは「共有される情報への適度の『型』の付与」をおこなっている。

     ひとつは,共有される情報(以下,記事)のカテゴリの設定である。文献を紹介する「いわゆる本」や,研究会でおこなった調査を報告する「調査の概況」などのカテゴリをシステム設計時から設定した。すべての記事はその内容にもとづきいずれかのカテゴリの属するようになっている。もうひとつは,記事の書き方のガイドラインの設定である。例えば「いわゆる本」であれば,記事を書くときのタイトルのつけ方のルールなどを決めている。

     これらは「情報を手軽に提供する」という点から見れば不利である注1)。しかし,これらの適度な制限を設け,情報にある種の「型」を与えることで,文字列による記事検索や,カテゴリによる横断的な参照などによる蓄積情報の活用がやりやすくなっている。このメリットは大きい。

    (3)記事投稿のメール通知による即時性の生成
     記事が投稿されるとすぐにメンバーにそのことがメールによって通知される,という情報プッシュ式のシステムを取り入れている。これにより,「だれがどんな情報を提供したか」がメンバー間に素早く伝わるようになっている。

    4.他の Web サービスとの比較
     研究会のシステムと,他の Web サービスの一般的な特徴との比較をまとめたものが表1である。他の Web サービスのそのまま用いるのではなく,専用に設計されたシステムによって,研究会に必要なことが実現出来ていることがわかる。

    表1

    5.今後の課題
     過疎地域は厳しい状況におかれている。それに関する研究にはスピードが要求される。今後,研究活動の情報共有システムには即時性がさらに重要になるだろう。即時性の点で有利なマイクロブログの機能などを有効に取り入れながら,それに対応していきたい。

    注1) 内容や記述ルールを特に制限しない「雑談コーナー」というカテゴリを設けて,手軽さの不足を補っている。このカテゴリの記事から新たな企画が生まれることもある。

    【参考文献】

    1) 林直樹・齋藤晋・一ノ瀬友博・前川英城(2007):共同研究会「撤退の農村計画」−人口減少時代の戦略的農村再構築,農村計画学会25巻4号,p.564-567.





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