撤退の農村計画 > 記事 : 林直樹・齋藤晋(2014):女子25〜34歳人口による地域持続性の評価.H26農業農村工学会大会講演会要旨集,74-75.
  • 林直樹・齋藤晋(2014):女子25〜34歳人口による地域持続性の評価.H26農業農村工学会大会講演会要旨集,74-75.

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    ↓以下、要旨。

    1. 研究の背景と目的

    集落や地域への帰属意識が強い人は転出しにくい。また,転出したとしても戻ってくる可能性が高いと思われる。集落や地域から若い女性が消滅するということは,そこを生まれ故郷とする人,すなわち,帰属意識が強い人がいなくなることを意味する。そのような地域は消滅する可能性が高いと考えられる(齋藤(1))。このような消滅が危惧される地域が,将来においてどれほど発生するのか把握しておくことは,過疎問題を考える上で重要である。

    そこで,本研究では,日本国内において,近い将来,新しい母親になる可能性が高い女子(25〜34歳)の人口がゼロまたはそれに近い状態になる地域がどれほど発生するのか,人口推計を用いて明らかにする。

    2. 将来推計人口の計算方法

    (1) 概要(2)

    2005年・2010年の2次グリッド(約10km四方)別の人口データ(3)から,コーホート変化率法を使用して,2050年までの将来推計人口を求める。ただし,グリッド別の,性・年齢別のコーホート変化率,婦人子ども比(2010年の男女0〜4歳/女子15〜49歳)は,このまま変化しないと仮定する。「子ども性比」は,全国の値(1.0481)を使用する。

    (2) ゼロで除する場合・外れ値の処理(4)

    婦人子ども比について説明する。ゼロで除する場合を無視して,婦人子ども比の中央値,外れ値の上限値(75%点+1.5×(75%点−25%点)),外れ値の下限値(25%点−1.5×(75%点−25%点))を求める。「0/0」は中央値に,「n/0(n≧1)」は上限値に置き換える。さらに,外れ値の上限値を上回るものは上限値に,下限値を下回るものは下限値に置き換える。変化率についても同様に処理する。

    3. 人口密度の計算方法

    上記で計算されたグリッド別の総人口と女子25〜34歳人口を,対応する2次グリッドの陸地面積(総面積から「海水域」を除いた面積)(5)で除する。これにより,グリッド別の人口密度と女子25〜34歳人口密度(ともに人/km2)が算出される。

    4. 分析結果

    図-1および図-2はそれぞれ,人口密度および女子25〜34歳人口密度が0.5未満になるグリッド数の変化(2010年から2050年まで)である。人口密度0.5未満のグリッドは,2010年には全グリッド(4,836)の15.2%であるが,2050年には20.6%に増加する。一方,女子25〜34歳人口密度0.5未満のグリッドは,2010年には全グリッドの36.3%であるが,2050年には56.7%と半数以上まで増加する。増加率(2010年→2050年)は56.2%である。

    図1図2
    ↑図-1と図-2

    そこで,女子25〜34歳人口密度が0.5未満になるグリッドの地理的な分布を確かめてみる。図-3は,2次グリッド単位の2010年と2050年の女子25〜34歳人口密度である。図中の黒い部分が,「女子25〜34歳人口密度が0.5未満になるグリッド」である。これをみると,北海道のほぼ全域や日本海側,紀伊半島,四国,九州中央部の県などを中心に,全国的に女子25〜34歳人口密度が0.5未満になる地域が増加することがわかる。すなわち,全国において地域持続性が低下する地域が多発すると考えられる。

    図3
    ↑図-3

    (1)齋藤晋(2007):京都府下における消滅危惧集落の将来予測.農業農村工学会全国大会講演要旨集,80-81.
    (2)石川晃:『市町村人口推計マニュアル』,古今書院.
    (3)平成17年および平成22年国勢調査:地域メッシュ統計(世界測地系,都道府県別:全都道府県),(公財)統計情報研究開発センター,2013.
    (4)林直樹・齋藤晋(2011):岩手県・宮城県・福島県の将来推計人口:復興はコンパクトな「まち」で.電力中央研究所ディスカッションペーパー.
    (5)国土数値情報/土地利用3次メッシュデータ:平成21年度,世界測地系.





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