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    30年後の「総人口」

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    上の図は2035年の各都道府県の「総人口」です(ただし2000年の総人口を100とする)。人口増加は埼玉県,滋賀県,沖縄県だけです。わが国の米蔵と言えば,北陸,東北ですが(北陸と東北で生産の約4割を占める),いずれも2〜3割減少という厳しい状況が予想されます(宮城県は除く)。

    ところで人口のほとんどは都市に集中しているため,これらは全体(都市と農村)と言うより都市の人口と言った方がいいかもしれません。都市と言えども厳しい人口減少にさらされることがわかります。言うまでもないことですが,現時点で既に人口減少の問題を抱える農村は一層厳しい状況になるでしょう。


    現在の「65歳以上の人口の割合」

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    上の図は現在(ただし2000年)の各都道府県の「65歳以上の人口の割合」です(2000年の総人口を100)。既に相当高齢化しているように感じますが,多くても「2割と少々」と言ったところです。


    30年後の「65歳以上の人口の割合」

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    上の図は2035年の各都道府県の「65歳以上の人口の割合」です(2035年の総人口を100)。現在と比較してください。「3割」を超えるところが多数見られます。「2割から3割ならたった1割分」とも言えそうですが,「2割」なら残りは8割であり,65歳以上1人に対して「65歳未満が4人」,「3割」なら残り7割であり,65歳以上1人に対して「65歳未満が2人と少々」です。この差異は決して小さくありません。

    しかも先程と同様,これらは全体と言うより都市における割合と言った方がいいかもしれません。現時点で既に高齢化の問題を抱える農村は一層厳しい状況になるでしょう。高齢化の問題は非常に多岐にわたりますが,自家用車という移動手段の大半を失うことなども意味します。農村は一体どうなるのでしょうか。


    30年後の「農業従事者」

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    上の図は2035年の各都道府県の「農業従事者」です(2000年の農業従事者を100とする)。現在の趨勢では惨憺たる「状況」です。米蔵(北陸,東北)でも,福島県と宮城県以外は半減を覚悟する必要がありそうです。もっともこれだけ農業従事者が減少すれば,労働力の需要が高まり,「状況」が多少緩和される可能性もあります。


    現在の「65歳以上の農業従事者の割合」

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    上の図は現在(2000年)の各都道府県の「65歳以上の農業従事者の割合」です(2000年の農業従事者を100とする)。米蔵(北陸,東北)の高齢化は,全国的に見ればまだ穏やかです。鹿児島県,山口県,広島県は,既に4割を超えています。


    30年後の「65歳以上の農業従事者の割合」

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    上の図は2035年の各都道府県の「65歳以上の農業従事者の割合」です(2035年の農業従事者を100とする)。現在と比較してください。西日本は非常に厳しく,半数が「65歳以上」というところが当たり前になります。

    65歳以上ともなれば,手間のかかる「野菜や花」などは難しいでしょう。わが国の「野菜や花」はどうなってしまうのでしょうか。米蔵(北陸,東北)も,西日本ほどではありませんが,やはり高齢化は相当進みます。ただし,高齢化を「割合」だけで見れば,現在の鹿児島県,山口県,広島県と同等かそれよりやや穏やかです。これらの三つの県の現在の取り組みが,30年後の米蔵を救うことになるかもしれません。


    出典と予測の方法

    人口に関する分析

    利用データ
    • 総務庁統計局(1980):国勢調査,男女年齢別人口,都道府県単位.
    • 総務庁統計局(1985):国勢調査,男女年齢別人口,都道府県単位.
    • 総務庁統計局(1990):国勢調査,男女年齢別人口,都道府県単位.
    • 総務庁統計局(1995):国勢調査,男女年齢別人口,都道府県単位.
    • 総務庁統計局(2000):国勢調査,男女年齢別人口,都道府県単位.
    算出方法

    ここでは,「コーホート変化率法による人口推計 [1] 」を用いています。詳しい手順は以下のとおりです。

    1. 人口の推計に必要なデータを準備します。最低2時点の男女年齢別人口の統計があれば推計が可能ですが,4時点(できれば5時点)以上のデータが望ましいです。今回は,1980年から2000年までの5時点のデータを用いました。
    2. 年齢不詳人口を既知の年齢構造を用いて按分補正を行います。按分補正の計算は男女別に行います。各時点各都道府県の補正係数は以下の式で求めます。
      補正係数=人口総数÷(人口総数−年齢不詳)
      そして既知の各年齢別人口に補正係数を乗ずることにより補正人口が求められます。
    3. 婦人子ども比を計算します。これは将来の0〜4歳人口を近似的に求めるために用います。各時点各都道府県の婦人子ども比は以下の式で求めます。
      婦人子ども比=0〜4歳人口÷25〜34歳女子人口
    4. 子ども性比を計算します。これは将来の0〜4歳人口を男児と女児に分割するために用います。各時点各都道府県の子ども性比は以下の式で求めます。
      子ども性比=0〜4歳男子人口÷0〜4歳女子人口
    5. 性,年齢別コーホート変化率を計算します。例えば「男子2000年0〜4歳→男子2000年5〜9歳変化率」は以下の式で求められます。
      男子1995年0〜4歳→男子2000年5〜9歳変化率
      =2000年5〜9歳男子人口÷1995年0〜4歳男子人口
      ただし,最終年齢については,例えば以下のような式で求められます。
      男子1995年80歳以上→男子2000年85歳以上変化率
      =2000年85歳以上男子人口÷1995年80歳以上男子人口
    6. 推計に用いる各値を選択します。今回は,以下のように選択しました。
      • 婦人子ども比:(最新のデータである)2000年婦人子ども比
      • 子ども性比:1990〜2000年の3時点での平均値
      • 性,年齢別コーホート変化率:1980〜2000年の4期間での平均値
    7. 将来人口の推計を行います。例えば「2005年5〜9歳男子人口」は以下の式で求められます。
      2005年5〜9歳男子人口
      =2000年0〜4歳男子人口×0〜4歳男子コーホート変化率
      これと同様の手順で,男女別に85歳以上人口まで計算します。
      そしてこれにより求められた「2005年25〜34歳女子人口」を用いて「2005年0〜4歳人口」を以下の式で求めます。
      2005年0〜4歳人口=2005年25〜34歳女子人口×婦人子ども比
      あとはこれを,子ども性比を用いて,以下の式により男女に分割します。
      2005年0〜4歳男子人口
      =2005年0〜4歳人口×{子ども性比÷(1+子ども性比)}
      2005年0〜4歳女子人口=2005年0〜4歳人口×{1÷(1+子ども性比)}
      以下,必要な年次までこの作業を繰り返します。今回は今から30年後の2035年まで推計を行いました。

    農業従事者数に関する分析

    利用データ
    • 農林水産省統計部(1995):1995年農林業センサス,性・年齢別農業従事者数,都道府県単位.
    • 農林水産省統計部(2000):2000年世界農林業センサス,性・年齢別農業従事者数,都道府県単位.
    算出方法

    ここでは,「コーホート変化率法による人口推計」の方法を参考にした方式を用いています。詳しい手順は以下のとおりです。

    1. 農業従事者数の推計に必要なデータを準備します。最低2時点の男女年齢別農業従事者数の統計があれば推計が可能です。今回は,1995年と2000年の2時点のデータを用いました。
    2. 年齢不詳の農業従事者がいるならば按分補正を行います。今回用いたデータには,年齢不詳の農業従事者はなかったのでこの手順は飛ばしました。
    3. 「現世代次世代比」を計算します。これは将来の15〜19歳農業従事者数を近似的に求めるために用います。各時点各都道府県の「現世代次世代比」は以下の式で求めます。
      「現世代次世代比」=15〜19歳農業従事者数÷40〜49歳女子農業従事者数
    4. 「次世代性比」を計算します。これは将来の15〜19歳農業従事者数を男子と女子に分割するために用います。各時点各都道府県の「次世代性比」は以下の式で求めます。
      「次世代性比」=15〜19歳男子農業従事者数÷15〜19歳女子農業従事者数
    5. 性,年齢別コーホート変化率を計算します。例えば「男子1995年15〜19歳→男子2000年20〜24歳変化率」は以下の式で求められます。
      「男子1995年15〜19歳→男子2000年20〜24歳変化率」
      =2000年20〜24歳男子農業従事者数÷1995年15〜19歳男子農業従事者数
      ただし,最終年齢については,例えば以下のような式で求められます。
      「男子1995年70歳以上→男子2000年75歳以上変化率」
      =2000年75歳以上男子農業従事者数÷1995年70歳以上男子農業従事者数
    6. 推計に用いる各値を選択します。今回は,以下のように選択しました。
      • 「現世代次世代比」:1995と2000年の2時点での平均値
      • 「次世代性比」:1995と2000年の2時点での平均値
      • 性,年齢別コーホート変化率:1995〜2000年の1期間での値
    7. 将来農業従事者数の推計を行います。例えば「2005年20〜24歳男子農業従事者数」は以下の式で求められます。
      2005年20〜24歳男子農業従事者数
      =2000年15〜19歳男子農業従事者数×15〜19歳男子コーホート変化率
      これと同様の手順で,男女別に75歳以上農業従事者数まで計算します。 そしてこれにより求められた「2005年40〜49歳女子農業従事者数」を用いて「2005年15〜19歳農業従事者数」を以下の式で求めます。
      2005年15〜19歳農業従事者数
      =2005年40〜49歳女子農業従事者数×「現世代次世代比」
      あとはこれを,「次世代性比」を用いて,以下の式により男女に分割します。
      2005年15〜19歳男子農業従事者数
      =2005年15〜19歳農業従事者数×{「次世代性比」÷(1+「次世代性比」)}
      2005年15〜19歳女子農業従事者数
      =2005年15〜19歳農業従事者数×{1÷(1+「次世代性比」)}
      以下,必要な年次までこの作業を繰り返します。今回は今から30年後の2035年まで推計を行いました。

    参考文献

    1. 石川晃(1993):『市町村人口推計マニュアル』,古今書院. 

    (林直樹・齋藤晋)





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