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    第2回:川端正人(大阪桐蔭中学校・高校)×林直樹(総合地球環境学研究所)【2008.3.12】
    過去・現在を踏まえた未来のビジョンづくり―「一匹のメダカ」を目指して

    最適解を示す

    林:「撤退」について、どんなイメージを持っていますか。

    川端:これまでは「好きなところに住んでください、どこでも同じ行政サービスやインフラを提供します」でしたが、これからは「どこに住むのも自由ですが、これまでのようには面倒見切れません」ということをまず示さないといけないと思います。

    林:なるほど。「過保護の手を撤退させる」ということですね。

    川端:ただ、そのままでは「地方を見捨てるのか」という感情論が噴出するでしょう。それに対する議論の一点として、統計など定量的なものと経験則から導出される法則の両方から、ある程度の最適解を打ち出しておくことが挙げられると思います。


    「撤退」のその先(ビジョン)を描く

    林:「財政が苦しい」だけでは撤退の理由としては弱いと。

    川端:それだけでは、単なる損得勘定の話になってしまいます。誰かが損得勘定を踏まえながら、夢なり理想なり、ビジョンを描かないと。高度経済成長期のころは、みんな「都会に出れば豊かになる」と信じていたから、ビジョンを描く必要はなかったのですが。

    林:ビジョンを描く仕事は誰の仕事でしょうか。

    川端:本来は政治家がやるべきでしょう。

    林:研究者はいろいろなタイプのテンプレートを示すことが…。

    川端:限界でしょうね。ただ、高度経済成長期の所得倍増計画にしても日本列島改造計画にしても、青写真を描いた学者はいます。

    林:我々がこれからのテンプレートを作らないと。

    川端:(歴史的にみると)日本は中国やヨーロッパとちがい、大きな人口減というカタストロフを経験していないので、これからの青写真を描くのは難しいですね。ただ、外国人は、日本をよくメダカの群れに例えます。特に指図したわけではないのに、一匹が急に向きを変えるとみんな方向を変える。

    林:なるほど。ぜひとも、我々がその「一匹のメダカ」になりたいですね。


    今ある「まとまり」を使う

    川端:今の「○○県」とか「○○地方」、あるいは鉄道の「○○線」といったものには、おそらくそれなりの意味があると思います。「それを有効にしているもの」を考えることで、(最適解やビジョンの)手がかりを得ることができるのでは…と漠然とですが考えています。

    林:その辺りに何かヒントがあるということですね。


    厳しいインフラの維持

    川端:ただ、鉄道以外にもいろいろなインフラがありますが、状況はどれも厳しいです。医療はかなり衰弱しているので、どう考えても維持できないのではと思うことがあります。ライフラインも、特に水道は費用がかさんでだんだん維持ができなくなりつつあると言われています。

    林:水道というのはあまりに当たり前の存在なので、見落としていました。新しい着眼点ですね。

    川端:それから、ゴミも今結構問題になっていますね。どのインフラが一番なくなったら困るのか、整理する必要があると思います。


    学術と実務双方が刺激を受ける場として

    林:「この研究会にはこうあってほしい」といったご意見はありますか。

    川端:議論をしていく中で、実務の世界も学術の世界も両方とも刺激を受ける場であることを期待したいです。ですので、現状のようにいろいろな人が参加するという方向をどんどん発展させていくべきではないかと思います。

    林:今の方向性がいいということですね。それは発起人としてうれしい限りです。本日は貴重なご意見をありがとうございました。

    撮影:齋藤晋
    編集:前川英城





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