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    第3回:麻生翼×林直樹(総合地球環境学研究所)【2008.3.17】
    農村という「種火」―都市と農村の関係を考える―

    都市農村交流と「撤退」

    林:麻生さんは実際に農村へ行かれているということで。「撤退の農村計画」としても、都市農村交流を応援していきたいと考えています。

    麻生:僕が必要だと思っているのは、いかに農村で起こった問題を解決しようとする人たちと「撤退の農村計画」が協力していくかということなのですが、その点、「撤退」という言葉はものすごく過激ですよね。何か解決を考えている人たちに、「私たちは撤退です」と言うと、やっぱり一歩引きます。

    林:この「撤退」という言葉ですが、「再構築」と考えてください。「再構築」とは、何かいったんものをどけて、また組み立てることですよね。この共同研究会は、この「いったんものをのけて」というところを強調しているだけです。ちなみに、この共同研究会の英語のタイトルでは「Reorganization」となっています。

    麻生:それならまだ展望があるように思えますよね。「撤退」という言葉がもっと、「Reorganization」というイメージが伝わりやすい名前だったらと思うのですが。

    林:それはほんと、おっしゃるとおりです。ただ、なぜ、わざわざ「撤退」としたのかというと、「再構築」という言葉は、家で例えると「建て増し」や「リフォーム」程度の(軽い)意味合いで受け止めている人が結構多いからです。(本当は)「土台から造り直しましょう」という意味ですから、やるなら相当の覚悟が必要だということを強調したかったのです。


    「種火」の意味

    麻生:今、僕が関心を持っているのは、ある地域内で食料やエネルギーだけでなく、人の介護といったものが1つの地域、1つのコミュニティの中で、完全ではないにしても、ある程度は自給できるようにできないかということです。昔の農村は、できる限りそこで自給的な暮らしをしていましたよね。

    林:そうですね。稲わらは屋根をふくのに利用しましたし、山に入れば炭の材料がありましたしね。

    麻生:まあ、きのこもありますしね。ところが、全然その山に手をつけなくなって、杉林に変えられてしまいました。山に入る人もほとんどいなくなりました。昔に戻れというのはもちろん無理だと思いますが、今の科学技術を利用するなりして、ちょっとずつでも(昔に)近づければいいなと思います。

    林:それに近いのですが、「種火」を残しておきたいですね。将来何が起こるか分からないわけですし、「さあ、自給していた時代の生活に戻れ」と言われたときに、何もないというのは困りますよね。でも、そういう生活を実践しているところがあれば、「ああ、なるほど、こうすればいいのか」ということで、素早く「再構築」ができますからね。

    麻生:「種火」ですか。農村は、都市に暮らしている人にとって「種火」の意味がすごくあると思います。農村に行くと、都市では完全に消えてしまった「種火」が残っているなとすごく感じます。そこで、先ほどの「再構築」の話に戻るのですが、撤退が実際に行われたあとの「構築」を誰がするのか、これは結構重要だと思うのです。もし、そこで経済優先の開発が行われてしまったら、今言った「種火」というものは全然保存されないと思いますし、「再構築」もされたわけではないと思います。

    林:確かに、そのあたりの問題を「撤退の農村計画」は考えていかないといけないですね。


    現場の声を

    林:「この研究会にはこうあればいいな」というご意見はありますか。

    麻生:いずれにしろ、農村の人たちがどう思うか、どう考えるのかをまず考えないといけないと思うので、できれば、農村の人がメンバーに加わるといいなと思います。

    林:なるほど。地元の人の意見も聞いて、いろいろと考える必要がありますね。本日は貴重なご意見ありがとうございました。

    撮影:齋藤晋
    編集:前川英城





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