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    第4回:O.A.(神戸大学)×林直樹(総合地球環境学研究所)【2008.3.24】
    「撤退」とムラ社会―同質性に潜む「社会の論理」

    権利関係の「撤退」

    林:「撤退」という言葉について、どのようなイメージを持っていらっしゃいますか。

    O:どんどん人が減っていなくなる前に、共同体やムラのネットワークを守るというイメージでしょうか。「最後までなじんだところで生活したらいいじゃないか」と言う人もいると思いますが。ただ、人がいなくなることで、結構いろいろな問題が出てくるのではないかと思います。例えば、土地の所有関係、お墓とその土地の名義が一致しないとか。

    林:山林なども似たような状況ですよね。

    O:権利関係があいまいというのも、ひとつの共同体というものだと思うのですが、いったん清算しておかないと誰も実態が分からなくなる時期が来るのではないかと考えています。

    林:権利関係の「撤退」というのは、権利関係の整理と言えそうですね。

    O:そうですね。あって当たり前だった集落の社会関係というものが、人がいなくなることによって効力を失うこともありえるということを、住民が直視する機会があってもいいのではないかと思います。


    共同体の「撤退」

    林:今、とりあえず安心して生活できるところに移りたいという住民の要望は、結構強いのではないかと感じています。

    O:ただ、ムラにとって中心的なメンバーだけが動いて、それで「撤退」ということになってしまうと、ちょっと問題だと思います。ムラには、昔から住んでいても、意思決定の場面などで中核にならない住民もいるので。

    林:共同体といっても、実は同質ではないということですね。そこは真剣に検討しないと、あとで問題を残すことになりますね。


    UJIターンと二地域居住

    林:昨今、世間では気軽にUJIターンと言われていますよね。でも、今のお話から考えると、場合によっては結構危険だと思いますね。他のムラ人と立場は対等だと思って入ってみると、入るなり端の方に追いやられたりするおそれもあるわけですから。

    O:特にIターンなどは、難しいと思いますね。ムラの側も危機意識があるから、だいぶ受け入れるところも増えていると思います。ただ、受け入れのときには、「その人は地域の祭りや共同作業に参加してくれそうかな」と様子をうかがいながら、人を選んでいるみたいですよ。

    林:Iターンにも向き不向きがあると思いますね。なじめるかどうかとか、我慢強いかどうかとか。

    O:ムラの行事に参加しないで、風景とか農村の空気だけがほしいと言って来る人は、あまり評価されませんね。団塊世代の第二の人生プランのひとつとして、現在、Iターンが注目されていますが、もうちょっと冷静に見つめないといけないのではないかと思います。

    林:そう考えると、二地域居住も同様の危険をはらんでいると思いますね。


    顔を見て話せる場所を

    林:「この研究会にはこうあってほしい」といったご意見はありますか。

    O:ブログ上でのやり取りは、いろいろな知識が入ってくるのですごくありがたいのですが、メンバーの方に直接お会いしたわけではないので、コメントするときにちょっと構えてしまいます。集まる機会がもう少しあるといいですね。

    林:ミーティングが2か月に1回程度の頻度で開かれていますので、機会があればぜひ参加してください。本日は貴重なご意見をありがとうございました。

    撮影:齋藤晋
    編集:前川英城





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