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    第11回:石田糸絵(千葉大学)×林直樹(横浜国立大学)【2011.12.22】
    線と壁の共有に向けて

    地籍調査を迅速に

    林:石田さんは測量の会社に勤務していたと伺っていますが、測量から見た農村計画、あるいは類似の分野の課題について、どのようにお考えですか。対談風景その1

    石田:長野市の測量会社に勤務していたのですが、そのときに山村の林が荒れていること、特に土地の境界線があいまいであることを知りました。いまだに明治時代に作成された公図や林班図が使われていますが、これは現状を正しく示していません。このままでは、将来、土地にかかわる権利の問題が噴出する恐れがあります。そして、これを避けるためには、地籍調査を迅速に進める必要があります。もはや、一刻の猶予もありません。


    迅速に進めるための技術開発と意識改革

    林:地籍調査を迅速に進めるためには、どうすればよいとお考えですか。

    石田:第一は、境界を確認する技術の改良です。今は現地に境界を復元した後、地権者による立会いで境界を決定していますが、これでは時間がかかりすぎます。そこで、山地などの森林では空中写真を地権者に見ていただいて、植生界から境界を確定する方法も考えられます。短時間で境界を確認する技術を開発する必要があります。これは、わたしが、ぜひやりたいことのひとつです。第二は、意識の問題です。所有者にとって、山の土地が「お荷物」になっているという状況を変える必要があります。わたしは山に興味をもってもらうためのアクションをおこしたいと考えています。また、個人的には苦境に陥っている零細測量会社に「新しい活躍の場」を作りたいという思いもあります。


    「縦割り」の状態から抜け出す

    林:なるほど。農村計画、あるいは類似の分野の全体的な課題については、どのようにお考えですか。

    石田:いわゆる「縦割り」の状態から抜け出していないことでしょうか。例えば、わたしは千葉大学園芸学部緑地環境学科に所属していますが、同じ学科でも、そのなかには厳然たる「壁」が存在しています。学生も、何となくかもしれませんが、それを感じています。

    林:「縦割り」の状態に陥った理由については、どのようにお考えですか。

    石田:「縦割り」が好まれたというより、縦割りを可能とするだけの「人的資源の余裕」があったと考えるべきでしょう。これから余裕がなくなることを考えると、遅かれ早かれ、現状の縦割りはできなくなると思います。

    林:非常に興味深い考察だと思います。縦割りから脱却、つまり、人的ネットワークの強化について、現時点で、できることは何でしょうか。

    石田:まずは、ほかの分野を突き放すような態度を改め、お互いの常識や思考回路を共有すること、心理学などを参考にしながら、相手を理解する努力をすること、コミュニケーションの技術を高めることでしょう。それから、いささか漠然としたものですが、「楽しさ」や「心地よさ」を共有することが大切ではないでしょうか。わたしは「撤退の農村計画@千葉大学」で、それを実践したいと考えています。


    オフ会で人的ネットワークを強化

    対談風景その2林:とても参考になりました。最後に共同研究会のメンバーのみなさんに、メッセージをお願いいたします。

    石田:ぜひ、「オフ会」をやりましょう。単純に楽しみたいという思いもありますが、さきほど申し上げたように、これは人的ネットワークの強化につながるはずです。

    林:ありがとうございました。「オフ会」についても、さっそく検討したいと思います。

    写真撮影担当:齋藤晋





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